サプライチェーンの受け皿としての ベトナム不動産?
ベトナム不動産 はここ数年でサプライチェーンから大きな恩恵を受ける. サヴィルズ・ベトナムによると、ここ数年で中国からベトナムへの生産移管を進める企業の数は増加傾向にある。特に日本や米国、シンガポール、台湾、韓国からの投資が特に多い。
ベトナム不動産 市場での商機に関する統計
サヴィルス・ベトナムによると、ベトナムには現在326カ所に工業団地があり、総面積は9万5,500ヘクタール。このうち6万5,600ヘクタールは工業用地となる。251カ所の工業団地で74%にあたる6万1,000ヘクタールが稼働している。75カ所の工業団地、面積にして2万9,300ヘクタールが工事中か土地の収用を進めている。これに加え、国内では17カ所の湾岸地域で経済特区があり、面積は合わせて84万5,000ヘクタールだ。
経済区と湾岸特別経済区で働く人の数は360万人にのぼる。外国からベトナムへの投資は多く、「嵐を避ける」ために中国から移ってきた企業も多い。
2019年上半期には、多くの投資はアジア諸国からのものだった。特に大きかったのが香港のビール会社ビアコ(Beerco)が40億米ドルをハノイ市近郊のトゥーリエム工業団地に投じた案件や、中国の音響機器のゴーテック(Goretek)が2億6,000万米ドルをバクニン省のクエボー工業団地に投じた案件がある。また、日本の電機メーカーのメイコーは、2億米ドルをハノイのタクタット工業団地に投じた。ベトナム不動産 市場は、これらの動向により、さらに押し上げられる可能性がある。
サプライチェーンは次の投資の呼び水に
- 主な事例
近年の動向としては、韓国のハンワが航空部品の工場をハノイに移管。自動車アンテナのヨコオはハナム工場を拡張、中国の繊維メーカー華孚(Huafu)はロンアン省に生産を移管した。
中国からベトナムに工場を移管する計画には、ゴーテックがヘッドホンや携帯電話の部品の工場をバクニン省に移す計画や、中国のTCL通訊科技がエレクトロニクスやテレビ、の工場をビンズオン省に移す動きがある。このほか、台湾のフォックスコンや中国のレノボのほか、日本のシャープ、京セラ、任天堂、アシックスもサプライチェーンの再構築を検討している。
- 原因
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1番目
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ベトナムへの生産移管が増えている理由についてサヴィルスは、米中貿易摩擦の影響を挙げる。また、EUやとの自由貿易協定(FTA、EVFTA)や、CPTPP、RCEPにベトナムが参加することで、投資の流入増が期待されることも大きい。CPTPPはすでに発効しており、EVFTAは今年に発効する予定。RCEPも年内に交渉がまとまる見通しだ。これらの要素も、ベトナム不動産 市場にとってはプラスになる。
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- 2番目
ベトナム政府は人手不足を解消し、生産移管や技術導入のコストを引き下げるよう取り組んでいる。事業環境の透明性が増せば、これらの投資がより低コストで可能となり、高度なスキルを持った労働者が増えると期待されている。
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ベトナムの人口は9,600万人。東南アジアの国と比較して、インドネシアやマレーシアのように、若い人口が多く、65歳以上の人口は6~7%に過ぎない。中国やタイでは11~12%おり、これはベトナムの非常に大きな優位点となる。ベトナムは15~54歳の労働人口が、全体の60~62%を占めると言われている。
ベトナムのこの割合は、マレーシアの57%やインドネシアの59%と比較しても大きい。このことが、大手企業が中国からの生産移管先としてベトナムを選ぶ理由になることがあっても、不思議ではない。
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特にベトナムでは、ホーチミン市であっても工場を設立するコストは中国やインド、マレーシア、インドネシアに比べて低く、非常に魅力的だ。これら4カ国とベトナムを比較すると、工場や倉庫の賃料は、ベトナムが1平方メートルあたり380米ドル、4カ国は平均で400~580米ドル。大規模な工場になると、ベトナムが1平方メートルあたり410米ドルで、4カ国は440~780米ドルとなる。ハイテク工場だと、ベトナムが610米ドルなのに対し、4カ国は650~1,190米ドル。さらに、住宅を購入する場合のコストも低く、ベトナム住宅 は日本の4分の1程度になることもある。
また、現在の疫病流行状況では、ベトナムはIMFによって、困難な時期にASEAN 5で最も有望な成長の見通しを持っていると評価されている
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- 5番目
さらに、世界銀行によるとベトナムの「事業しやすさランキング」は190カ国・地域中で69位。製造業にかかるコスト(2018年)は月額237米ドルと、インドネシアの190米ドルよりは高いものの、中国の866米ドルやマレーシアの924米ドル、タイの412米ドルよりは安い
ベトナム不動産市場での商機
ベトナムの工業不動産の商機
ベトナムの工業不動産 向け外国直接投資(FDI)は、過去10年で10倍になった。ベトナムに広がる広大な土地は、生産プロジェクトを促進するのに適している。また、レンタル工場や、ゼロから工場を立ち上げるなど、選択肢も幅広い。
賃貸―住宅不動産の商機
サプライチェーンのシフトは、ベトナムで大規模工業団地の需要を高めている。国内の労働者が住宅街に流入し、外国人労働者も集まる。工業団地内や周辺の住宅需要も高いといえる
需要を受け止めるためにベトナムには何が必要か?
- 最初は
ベトナムはこれから、各プロジェクトについては慎重に取捨選択をする必要がある。重要な視点になるのは、バリューチェーンを成長させ、競争力を強化し、持続的な成長に資するか否かと言うことだ。安価な労働力と投資のインセンティブ、特に税制優遇は、引き続きベトナムに外国投資を引きつける要素となり得る。さらに、外国人が生活し労働しやすくするために、政府は各種の規制を緩和したり簡素化し、ベトナム不動産 を買いやすくする必要がある。
- しかし
高付加価値の事業がベトナムに移管し続けるために、ベトナムは投資の量よりも質に気を配る必要がある。計画投資省と国際金融公社(IFC)は協力し、2020~30年にかけて戦略的に外国投資を呼び込む計画を策定した。これは外国投資の質を高めるための重要なステップとなる。
- 従って、
それによると、ベトナムは下記のことが必要になる。国内の人材のスキルを高度化すること。優先度の高い投資案件については、より政府が関与すること。国内の企業を支援するための政策を発展させること。教育や物流、金融といった国の基礎となるサービスを振興すること。FDIを管理する部門を設立し、より高度な管理や生産性の向上に寄与すること。既存の投資インセンティブをみなおし、FDIの質を管理すること。インダストリー4.0の導入にむけて努力すること。
サヴィルス・ベトナムのシニアコンサルタント、ジョン・キャンペル氏は、主要地域の工業団地の占有率は、非常に速いペースで上昇しており、広大な土地があることは外国人投資家の注目の的だ。現在、製造業者からの注目が高まっているのは中部で、フエやクアンナム、クアンガイは多くの問い合わせを受けている。これは、他の省市と比べて、土地の利用料が安いためだ。製造業に関わる多くの投資家は、農業用地を工業用地に変えるよう交渉を進めている。これらが成功すれば、新たなサプライチェーンの受け皿になるだろう。