不動産市場が直面する問題として、政府による新規プロジェクト認可の厳格化、及び不動産ローンに対するリスク係数調整がある。結果として、2019年の完成プロジェクトは急落、具体的には、2019年のハノイ市・ホーチミン市における発売条件を満たせるプロジェクト総床面積は、2018年比で53%減少、更に2019年には25%減少した。
供給量が限られている状況のなか、需要力がプラスの取引を促進している。利用できる土地に限りの有るハノイ市・ホーチミン市の2大都市では、マンションこそが最も関心をそそり、ユーザーの約30%がこれに関し検索している。
不動産は土地をはじめ、今後も魅力的な投資チャネルであり続ける。又、他の投資と比べても、ベトナム不動産利回りは遥かに高いと思われる。ホーチミン市不動産協会によると、2019年ホーチミン市の不動産価格上昇率は年15〜20%で、地金の価格上昇率(14%)、ベトナムVN指数上昇率(9%)、銀行金利(1年以上:約8%)よりも高くなっている。
ベトナムには観光資源が多く、国際的な観光客にとってお目当ての目的地が多数ある事から、独特な文化芸術、及び食文化に対する高いポテンシャルを秘めている。同時に、若い国であるベトナムは、人口の多くが統合・グローバル化進行スピードの速い都市へ集中し、若者をはじめとした海外観光客を誘致している。これにより、ショッピングセンター、飲食、娯楽等を含む経済発展のチャンスが生まれる。
更にベトナムは、最も大きく活気のあるハノイ市・ホーチミン市などの大都市、及び主要経済区における強力な都市化を目の当たりにしている。2020年には都市人口4,600万人、全人口の約45%に達し、2025年の都市化率は46%へ増加すると予測されている。
今後10年以内の新規住宅総需要は、低中価格の住宅セグメントで510万戸に達すると推定されている。この都市化スピードは、住宅需要を増加させるだけでなく、観光・リゾート不動産需要の増加をも促進している。
これら要素から、ベトナム不動産利回りは今後も高い数値で維持する事が予測される。