外国人向け不動産所有権

「外国人向けのベトナム不動産所有に関する法的手続きは、実施から約3年が経過した現在、売り手・買い手双方から非常に良いフィードバックを受けている。」

2015年以降、住宅法改正に関し、外国人を対象としたベトナムでの住宅購入の許可は、政策における非常に前向きな転換点とみなされている。当対象への要件が非常に具体的且つ明確に規定された事により、新たな需要源を生み出し、ベトナム国内不動産市場の発展をより一層促進する形となった。 入国後の外国人に対する住宅購入許可は、投資、観光、サービスなど、様々な不動産種の開発誘致・触発における良い条件の創出が期待されている。これは経済にとっても有益であり、国際慣行とも一致しており、且つ不動産の効果的な「輸出」の形でもある。

外国人向けのベトナム不動産所有に関する法的手続きは、実施から約3年が経過した現在、売り手・買い手双方から非常に良いフィードバックを受けており、過去2年間で数千件もの外国人顧客との取引が成功している。

2017年には、外国人顧客の所有が短期間で上限に達してしまうプロジェクトが多々あった。具体例として、2区中心位置におけるプロジェクトがフェーズ2で販売された際、外国人への割り当て上限である30%へ早々に達してしまい、多くの外国人がマンションを購入する事が出来なかった事例が挙げられる。その際、販売における顧客は韓国、中国、台湾、香港、シンガポール等、アジア諸国が主であった。

全体的な評価から、1区・2区、特にタオディエン(Thao Dien)とトゥーティエム(Thu Thiem)地区等の戦略的な場所に位置し且つ信頼度の高いデベロッパーを有するプロジェクトは、現在、外国人顧客から強い関心が寄せられており、非常に高い成約率を維持している。

外国人の所有戸数制限は、経済・社会全般への悪影響の軽減・防止を目的とした非常に重要な事項である。住宅法、及び政令第99/2015/ND-CP号をガイダンスする建設省通達第19/2016/TT-BXD号では、外国人が所有できる戸数を規定しているが、これは、転売手続きを厳格化し、不動産に関連する行政書類手続き手順の透明性を高める事を目的としている。但し、リゾート不動産、又はAクラスマンション等、より特別な需要を有する、一部の地域不動産種に合わせた制限の調整も考慮すべき事項である。なぜなら、固定化された制限ではなく柔軟性のある制限範囲は、市場押し上げのレバレッジを作成するからである。特に、現在ベトナムで暮らし働く、約8万2,000人以上の外国人(*)、並びにベトナムを「祖国」と呼び、特別な関心を持つ400万人以上のベトナム居留民が存在する現状がある。

2014年の住宅法改正より数年の後、多くの外国人顧客はホーチミン市、ハノイ市、ダナン市等、大都市の不動産市場へ関心を示している。但し、ベトナムで住宅を購入した外国人個人、又は組織へ発行された住宅所有証明書数は、顧客の関心・ニーズに対し未だ少ない現状がある。当証明書数が制限される要因として、証明書発行プロセスが少数の中央地域にのみ集中している事が挙げられるが、それに対しては、より幅広く普及させる必要がある。更に、外国人がベトナム不動産法を明確に把握できていない点、反対に一部地域における行政業務が未だ外国人に不慣れである点等が、現時点での真の障壁だと言える。又、外国投資家は適切な不動産プロジェクトを見出すべく、様々な国に事務所・支店を有する国際的なコンサルタント会社を通じて模索すべきである。それにより、法律上の疑問・取引手順が具体的に回答されるだけでなく、その際の追加費用が発生しない場合もある。更に、経験豊富で信頼度の高い不動産会社を利用する事は、多言語で顧客と円滑にコミュニケーションできる所から、時間と金の節約に繋がる側面もある。又、投資家は、相談事項に対する極めて詳細な情報取得のために、自らの予算、関心のあるプロジェクトに対する具体的な要件等の理解が必要である。

(*)2016年5月時点までに発表された労働・傷病兵・社会省データ