ベトナムのクリスマス外国人の視点から見る、少し不思議で、しかしとても魅力的な体験

ベトナムのクリスマス
外国人の視点から見る、少し不思議で、しかしとても魅力的な体験

私が初めてベトナムでクリスマスを迎えたとき、正直なところ、静かな一日になるだろうと思っていました。
ベトナムはキリスト教国ではなく、クリスマスも正式な祝日ではありません。そのため、12月25日は他の平日と変わらず過ぎていくのだろうと想像していたのです。

しかし、実際はまったく違いました。

12月に入ると、ハノイやホーチミン市の街はすぐに特別な雰囲気に包まれます。ショッピングモールやカフェ、レストラン、ホテルに至るまで、至る所にクリスマスツリーやイルミネーションが飾られます。夜になると、街には多くの人が集まり、写真を撮ったり、友人と会話を楽しんだりする姿が見られます。

私はそこで、こう疑問に思いました。
なぜ、祝日でもないクリスマスが、ここまで盛り上がるのだろうか。

祝日ではないが、決して「普通の日」ではない

法律上、クリスマスはベトナムの祝日には含まれていません。学校は通常どおり授業を行い、会社も営業しています。ベトナムの祝日は、主に歴史や民族的な出来事と結びついたものが中心です。

しかし、社会の雰囲気は明らかに違います。

多くの企業では仕事を早めに切り上げ、ショッピングモールや飲食店は深夜まで営業します。特に都市部では、夜になると人通りが増え、街全体が明るく活気に満ちた空気に包まれます。

制度上は平日であっても、人々の意識の中では、クリスマスは確実に「特別な日」として存在しているのです。

家族の日ではなく、街に出る日

欧米諸国では、クリスマスは家族と過ごす大切な時間です。家に集まり、食事をし、静かで温かな時間を共有します。

日本では、クリスマスは恋人同士で過ごすロマンチックな日というイメージが強いでしょう。

一方、ベトナムのクリスマスは、そのどちらとも異なります。

多くの人は家に留まらず、友人や同僚、恋人と一緒に外へ出かけます。カフェやレストラン、繁華街、歩行者エリアなどが自然と人の集まる場所になります。

そのため、外国人の目には、ベトナムのクリスマスは家族行事というよりも、街全体で楽しむイベントのように映ります。

雪のない国のクリスマス

ベトナムは熱帯気候の国です。12月でも気温は20〜30度ほどで、雪が降ることはありません。それでも、街には雪を模した装飾やスノーマン、トナカイ、サンタクロースの姿があふれています。

多くのベトナム人は実際の雪を見たことがありません。しかし、映画や音楽、海外文化を通して、雪はクリスマスを象徴する存在として強く認識されています。

そのため、ベトナムのクリスマスは、現実の気候ではなく、想像によって作られたクリスマスだと言えるでしょう。

キリスト教徒でなくてもクリスマスを祝う理由

ベトナムでキリスト教を信仰している人は、人口の約7〜10%に過ぎません。多くの人にとって、クリスマスは宗教的な行事ではありません。

それでも、この日が広く受け入れられている理由は、ベトナム社会の柔軟さにあります。

行事の宗教的背景よりも、「楽しいかどうか」「雰囲気が良いかどうか」が重視されます。街が美しくなり、人々が笑顔になるのであれば、それだけで十分なのです。

また、若い世代とSNSの影響も大きく、クリスマスは写真を撮り、共有し、楽しむイベントとして定着しています。

さらに、ベトナムにはテト(旧正月)という最大の家族行事が存在します。家族と過ごす時間や帰省の意味はテトが担っているため、クリスマスは純粋に楽しむための日として位置づけられています。

クリスマスに人々は何をしているのか

12月24日や25日になると、多くの人が友人と食事に出かけたり、装飾されたカフェで時間を過ごしたりします。また、大きな教会の周辺を散策し、雰囲気を楽しむ人も少なくありません。

重要なのは、誰と過ごしていても、あるいは一人であっても、疎外感を感じにくいという点です。街そのものが、共有された空間として機能しています。

ベトナム・日本・欧米のクリスマスの違い

欧米では家族中心、日本では恋人中心。
そしてベトナムでは、街とコミュニティが中心です。

ベトナムのクリスマスは賑やかで、人の声と光に満ちています。それは混乱ではなく、楽しさの表現なのです。

外国人にとってのベトナムのクリスマス

多くの外国人が、ベトナムのクリスマスは気楽だと感じます。宗教を問われることもなく、家族と過ごすべきだというプレッシャーもありません。

海外で生活する人にとって、街に出れば自然と溶け込めるこの雰囲気は、大きな安心感を与えてくれます。

クリスマスから見えるベトナムの姿

ベトナムのクリスマスは、祝日ではなく、雪もなく、宗教色も強くありません。それでも、人々はこの日を楽しみ、街は温かな光に包まれます。

それは、ベトナム社会の柔軟さ、開放性、そして人とのつながりを大切にする価値観をよく表しています。

12月にベトナムを訪れる機会があれば、ぜひベトナム流のクリスマスを体験してみてください。
そこには、気候以上に、人の温かさがあります。