ビンホームズ、日本市場開拓
投資家向け販売を強化

ベトナムの複合企業ビングループ傘下の住宅開発⼤⼿ビンホームズが⽇本の富裕層向けの販売を本格化する。同社は9⽇、⽇本の個⼈投資家などへの不動産販売の実績が豊富なベトナム・グルーヴ不動産(南部ホーチミン市直属トゥードゥック市)を⽇本市場での「戦略総代理店」に任命した。今後は同社を通じた⽇本市場でのマーケティングを推進する。

ベトナムの住宅開発⼤⼿ビンホームズは、ベトナム・グルーヴ不動産を⽇本市場の「戦略総代理店」に任命した。写真左はベトナム・グルーヴのレ・ティ・タン・ハンCEO、右はビンホームズのグエン・トゥー・ハンCEO=9⽇、ホーチミン市

ビンホームズとベトナム・グルーヴ不動産は、同社を⽇本向け販売代理店から総代理店へと格上げする契約に調印した。

ベトナム・グルーヴ不動産は2018年からビンホームズの物件を⽇本企業や個⼈投資家に販売してきた。レ・ティ・タン・ハン最⾼経営責任者(CEO)も含め役員・従業員の多くが⽇本語を話し、⽇本⼈のセールス・マネジャーも置く

ビンホームズのグエン・トゥー・ハンCEOは、ベトナム・グルーヴについて「数千⼈の⽇本の顧客・投資家にサービスを提供してきた実績がある」と評価。「ベトナム・グルーヴとより緊密な協⼒関係を築き、より多くのビンホームズの物件を⽇本の顧客や投資家に提供できることを期待している」と述べた。

ベトナム・グルーヴのハン⽒はNNAに対して、「総代理店としてビンホームズの物件の⽇本顧客向けの販売促進や、ビンホームズブランドの⽇本での認知度向上に取り組む」と説明した。

式典ではベトナム・グルーヴと、IT企業じげん(東京都港区)のグループ会社で海外不動産仲介サービスなどを⼿がけるビヨンドボーダーズ(同目⿊区)が⽇本市場の⼆次販売代理店の代表として販売代理契約を結んだ。同社はカンボジアなど東南アジアの不動産を主に⽇本の個⼈投資家向けに販売しており、ベトナムでの販売代理契約を結ぶのは今回が初となった。

ハン⽒によれば、ビンホームズの⽇本向けの販売代理店は、これまでにも数社あったが、ビンホームズが設ける広告宣伝費や販売実績、営業担当者数などの基準を満たすことができずベトナム・グルーヴ以外は撤退した。今後はさらなる⼆次販売代理店の開拓にも取り組む。

ビンホームズのハン⽒は、「⽇本の顧客・投資家には学校や病院、商業施設などを含む都市開発と⼀体型の住宅が⼈気だ」と説明。⽇本庭園などの⽂化を取り⼊れた住宅開発にも⼒を⼊れていると強調した。

ビンホームズとトゥードゥック市の⾼層住宅開発事業「ザ・オリガミ」などを⼿がける野村不動産ベトナムの東伸明社⻑も式典で、「⽇本⼈が好むのは、品質が⾼くタウンシップ(⼤規模な住宅街)など住環境の良い物件だ」と説明。ベトナムの不動産会社では、ビンホームズは「短期間に巨⼤なタウンシップを継続的に複数開発できる唯⼀の企業だ」と評価した。

東⽒は⾜元の不動産市場について、住宅ローンが下がっており、開発会社も社債発⾏を通じた資⾦調達がしやすい状況になりつつあると指摘。⼀部の⾼価格物件は流動性が低いが、「適正価格の範囲内の物件はきちんと売れている」と説明した。

NNA ASIA